原発の廃止と常温核融合について

2011年3月11日の東北地方の大地震は、東日本に住む人々に大きな影響を及ぼした。このような大きな地震はいつかは起きるだろうと考えていたが、原子力発電所のトラブルがこれほど深刻になるとは考えていなかった。もう少し早く原子力発電所を閉鎖すべきだったのだろう。
今回の福島第一原発の事故では、核燃料の扱い難さや、核分裂反応がコントロールしきれないことが明らかになった。原子力発電に関しては、国内だけでなく海外の会社や団体の利害が絡んでいるが、私は原子力発電の廃止に向けて動き始める時が来たと思う。

原子力発電に代わるものとして熱核融合が以前から研究されているが、実用化には至っていない。また常温核融合も以前に話題になったが、大規模な資金を投じての研究はあまりされていないようだ。
「シェア・インターナショナル」という雑誌には、将来の発電方式として常温核融合が挙げられている。この雑誌は、国際政治や貧困、多国籍企業の問題、また環境問題や宗教関係の話などが主なテーマとなっている。編集長はベンジャミン・クレームというイギリス人の画家で、神智学やアリス・ベイリーの教えにも詳しい。
「シェア・インターナショナル」から常温核融合についての部分を引用する。

Q 科学者は常温核融合プロセスを再現できましたか。批評家たちはこれまでのところ常温核融合を無視しています。なぜなら、その結果が研究室の中で再現できないからです。
A 幾つかの異なった方法によって、一定のしかし限定された量のエネルギーが生産されています。必要な予算が配分されていれば、現在までに常温核融合は可能になっていたでしょう。石油原発関係者がそれを食い止めることを決意しています。
「シェア・インターナショナル」2010年5月号

Q あなたの著書の中に、核融合は安全で無尽蔵のエネルギーを生み出すと書かれています。全世界がこの恩恵を受けるのに十分なスケールで、科学者はどれほどこれに近づいていますか。
A 核融合にはいくつかのアプローチがあり、個々の科学者がこのプロセスを開発するのにいくらかの進展を遂げています。しかし、これまで発見されていない単純な方法が一つあります。どこでも入手可能な水の同位元素を用いることです。もしも意志が存在し、核分裂反応に費やされている何十億もの資金の一部がこの仕事に向けられれば、核融合が至るところで利用可能になるのに長い時間はかからないでしょう。核爆弾が絶えず存在していることが、政治家と科学者に核分裂の誤用を続けさせています。彼らは核の‘競争’に遅れることを恐れているのです。
「シェア・インターナショナル」2008年2月号

例えば、水から非常に単純な同位元素を作ることができます。それによって、原子力エネルギーは安全でクリーンな状態で使用されるようになるでしょう。原子爆弾発電所で活用されている核分裂ではなく、核融合です。融合の過程はクリーンであり、常温で行われ、世界中の至るところにある水から取り出す単一同位元素によって実現します。したがって、誰も核融合を隅に追いやることはできません。世界のすべての国家が自前の核融合プラントを建設することができます。それは、現在の多様な発電システムと、世界に与えられる新しい光のテクノロジーとの間隙を埋めて、必要とされる安全でクリーンな電力を供給するでしょう。
光のテクノロジーがいつ導入されるかは設定されていません。それは人類が戦争を永久に放棄することにかかっています。もし人類が戦争を一つの選択肢と見なし続けるならば、光のテクノロジーは公開されないでしょう。しかし、人類が戦争を完全かつ永久に放棄することを決定的かつ全面的に示すならば、光のテクノロジーが人類に与えられるでしょう。それは安全でクリーンであり、太陽からエネルギーを直接取り込みます。
(中略)
その一方で、私たちは明日にでも核融合を導入することができます。それは実験室でもその他のところでもあらゆる必要を満たし、安全、クリーンで、破壊的でなく、今日の科学の発展を大いに助けてくれるでしょう。しかしこの場合も、それの製法は、それが原油や石油への依存を終わらせることになると考える自動車製造業者などの机上に置かれたままです。彼らは石油で駆動するエンジンを製造しているため、最も見たくないものが核融合なのです。まさに商業至上主義に関係しています──人はこの言葉に飽き飽きしていますが、それが人類の問題の核心です。
「シェア・インターナショナル」 2009年2月号 特集「教育、教育、教育」 質疑応答

「シェア・インターナショナル」の質問欄には、ベンジャミン・クレーム氏が回答しているが、クレーム氏の師とされる匿名のマスター(覚者)が情報源とされる。
「マスター」とは人里離れたところに住んでいる賢者のような人物で、世界には40人以上おられるという。公に活動する時期ではないので、人々の前に姿を現すことはほとんどない。人類が本来の生き方から大きく逸脱して、文明の崩壊や混乱を招かないように見守っておられるようだ。
「シェア・インターナショナル」に載ったマスター(覚者)の記事では、原子力発電には通常知られている問題のほかに、現在の計測機器では把握できない汚染があり、人間だけでなく様々な生物にも深刻な影響を及ぼしていること。そして、現在の資源の浪費を前提とした生活様式や社会構造の変化の必要性について書かれている。

目に見えない迫り来る危険 2006年6月号

人間の必要 2010年12月号

商業至上主義について 2009年5月号

地球は産みの苦しみの中にある 2007年11月号


(2012.1.27更新)
(2019.2更新。リンクの修正)